仁川に面して建つ22戸のコーポラティブハウス(居住者が組合を作り、敷地の共同購入、設計と工事の共同発注を行って建設し、完成後は共同で暮らす)自主建設のマンションです。外壁をできるだけ修繕費用がかからないように、無機質のカラーモルタル塗り、屋根は亜鉛板梁としています。外壁色は、南棟は黄土色、北棟は赤土色としています。
仁川からの外観です。手摺りは、防腐処理を行った木製格子を用いています。コンクリートの格子の内部は、奥行きのふかい6畳ぐらいのベランダが設けられています。マンションのベランダは、一般に奥行きが1.2m程度の廊下のような空間が多く、洗濯物の干し場の機能しかありません。しかしマンション住戸にも、庭のような屋外生活の場や植栽を育てる場が必要です。その問題の解決を目指したのがこの集合住宅のベランダです。皆さんはこの奥行きの深いベランダを、多様な形で活用なさっています。
南棟と北棟の間の空間から空を臨んだ景観です。
建物にどのような造形を与えるのかは難しい課題でした。まだ、竹山清明の中で建築様式論がじっくりと練り上げられていたわけではありませんが、ヨーロッパの民家建築のような造形を念頭に置いて、デザインを試みました。各住戸の間取りが全て異なっているため、バルコニーや窓の位置が定型ではなく、それにより変化ある造形となっています。
北棟の最上階の住戸のリビングダイニングのインテリアです。この住戸の住まい手のご主人が建築専門家でした。そのためご主人の空間づくりの要望を大切にして、共同でデザインした作品です。