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事例紹介

公共建築など

ピッコロシアター:兵庫県立尼崎青少年創造劇場(1978)

竹山清明が兵庫県建築部営繕課に在職中、チーフとして設計・監理を担当した、公立施設として初めての演劇専門劇場です。大ホール(客席400席)、中ホール(客席約100席)、小ホール(客席約70席)の、小規模ホールによる群劇場です。

大ホールは、舞台面積が客席の倍あり、演じる方からはとても使いやすいホールであると好評です。舞台の天井高も理想値に近い価を採っており、近代演劇の演じやすい、表現しやすいホールとなっています。

劇作家・演出家の故井上ひさしによる調査・評価では、明治以降の近代劇場で、演ずる立場からは最も優れた施設であると、第一等の評価を得ました。

西北から見たエントランスまわりです。コンクリートの二つの円筒の間を南に入ると、ホール群と事務室の受付へと誘われます。

外壁は、縦リブのコンクリートの斫り仕上げです。建設当時、立地の尼崎市は空気の汚染がまだまだひどく、外壁の汚れが心配されました。

そのため、汚れが付いても目立たないようにと、斫り仕上げを採用したものです。築後46年を経過していますが、外壁のイメージは新築当時と変わらない魅力を保っています。

新築時に作成し館内に掲げられている案内図です。右側が北で、上が2階、下が1階の平面図です。いずれの図でも、左半分が大ホールで、その下半分が舞台です。舞台の大きさがご理解いただけると思います。

2階の平面図では、大ホール舞台の右側に中ホール、さらにその右側に半円形の小ホールが並んでいます。

1階の右端(小ホールの下)の半円形は受付・事務室、その左の中ホールの下あたりは楽屋群です、大・中・小ホールにすぐアプローチできる合理的な平面計画になっています。

1階には演劇資料室も設けられており、豊富な資料が備えられています。

大ホール舞台から客席を眺めた写真です。客席の床勾配は、建築学会推奨値を採用しており、どの客席からも、前の人の頭に遮られることなく、舞台上の全てのポイントを眺めることができます。落語の公演なども行われますが、ある落語は「観客の全ての人の顔がズラッと並んで見えるのでとても迫力がある」というような感想を述べられたそうです。

小ホールの風景です。このホールは、平面型の規模の割に天井がとても高く、残響時間が多めで、音楽のコンサートにも好評です。写真は、ダンスの公演の練習風景です。

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